Dedications & Inspirations (1994年)[CD]

Dedications & Inspirations

オススメ度

★★★☆☆☆

所感

ジム・ホールがひたすら一人でギターを弾いているアルバム。ベースやドラム、ピアノなどといった楽器は一切ない。基本的に一人でギター2本をリードとバッキングに分けて弾いて、オーバーダビングし1トラックにしている。一部(#10と#11)はギターソロで弾いている。ギターの音色がこれまでのアルバムからガラっとかわって、アコースティックギターで弾いているような印象を受ける。実際にアコギで弾いている曲もあるが、アンプ経由の音よりは、生音を拾っている割合が大きいのも特徴。

このアルバムはタイトルの「デディケイションズ&インスピレイションズ」が示している通り「献身と触発」という主題に基づいて制作されている。主に音楽家に対して尊敬の念をこめて捧げる曲と、絵画に曲想を得て書き下ろした曲を演奏している。ギターのみなので派手さに欠けるが、ジム・ホールが得たインスピレーションの対象を想像しながら演奏を聴くと、表層上の曲だけなく、また別の側面が見えてきておもしろい・・・てのはジム・ホール中毒度80%以上のファンでないと難しいかーっ!

曲と、「デディケイションズ&インスピレイションズ」の対象となる人物は次の通り。

  • Whistle Stop:アメリカの風刺コミック作家ゲイリー・ラーソンに捧げた曲。ゲイリー・ラーソンはジム・ホールのアルバムSomething Special(1993年)のジャケット(USオリジナルCD)を描いている。絵画のようにちょっとコミカルでかわいい曲だ。
  • Hawk:サックス奏者、コールマン・ホーキンスに捧げた曲。
  • Canto Nostálgico:「アルゼンチンの友人に捧ぐ」と表記されている。
  • Why Not Dance?:1940年代のスイングジャズ全盛期の音楽家ジミー・ランスフォードに触発されて書いた曲。
  • João:ボサノヴァの大御所であるジョアン・ジルベルトに捧げた曲。アントニオ・カルロス・ジョビンなどのブラジルの音楽家たちのボサノヴァが、ジム・ホールに影響を与えたとしている。ライナーノーツによると1950年代末にジム・ホールがエラ・フィッツジェラルドのツアーに同伴し南アメリカを訪れ、その後ツアーを離れて一人で6週間リオデジャネイロで過ごし、ボサノヴァを自分のスタイルに取り込んだと説明している。
  • Seseragi:日本の友人に捧げた曲。友人とはジム・ホールに師事したギタリストの井上智(いのうえ さとし)氏のこと。
  • All The Things You Are:妻のジェーン・ホール(Jane Susan Hall)に捧げた曲。ジェーンがこの曲が大好きだから、とのこと。ジム・ホールはこの曲をしばしば演奏するが、その理由をいつも妻が好きだからと答えている。なんつー愛妻家おやじ・・・!
  • Miró:スペインの画家、ジョアン・ミロの絵画から曲想を得た曲。
  • Mone:フランスの画家、クロード・モネの絵画から曲想を得た曲。
  • Bluesography:イントロおよび4部のパートから構成される12分の長い曲。ジャズギターの創始者であるチャーリー・クリスチャンと、初期のブルースギタリストのリードベリーに捧げた曲。
  • In A Sentimental Mood:スイングジャズの大家、」デューク・エリントンに捧げた曲。ジム・ホールはデユーク・エリントンの曲を本当に好きだといっている。ライナーノーツではジム本人のコメントでWe love you madly!と記述しているほどだ。ジムの2ndソロアルバム「It's Nice To Be With You」(1969年)ではギター2本で演奏しており、似たような雰囲気を持つが、それぞれの違いを楽しんでみるのも良い。
  • Matisse:フランスの画家、アンリ・マティスの絵画から曲想を得た曲。アルバムのジャケットはマティスの作品The Sorrow Of The King(王の悲しみ)を借用している。
    外部リンク:The Sorrow Of The King : Wikipedia(US)
  • Street Dance:サックス奏者、ソニー・ロリンズに捧げた曲。周知の通り、ロリンズとジムは何度か共演しており、ライナーノーツでジム・ホール自身が「ロリンズが私にカリプソを紹介した」と記述している。カリプソ調の南国を思わせる楽しい曲。

ライナーノーツにジム・ホール自身と、妻のジェーンによるコメントがあり、養女のデブラ・ホール(Devra Hall)によるジム・ホールの詳しい音楽経歴が記述されているのも特徴。

ジム・ホールはこの1994年のアルバムからTelarc(テラーク)レーベルに移籍し、この後しばらくの間Telarcからアルバムを発表することになるのだが、どうにもTelarcでのアルバムは後発のものほど曲がヘンテコになっていく傾向があるので要注意。

詳細

アルバムタイトル(原題)
Dedications & Inspirations
アルバム名義
Jim Hall
アルバムタイトル(邦題)
N/A
アーティスト表記(日本語表記)
N/A
収録年
1994/10/23,24
発売元,レーベル
Telarc International Corporation
所有盤
輸入CD
販売元
Telarc International Corporation
CD発売日
1994
規格品番
CD-83365
UPC
089408336522
定価
-

曲目

  1. Whistle Stop
    作曲
    Jim Hall,dedicated to Gary Larson
  2. Hawk
    作曲
    Jim Hall,dedicated to Coleman Hawks
  3. Canto Nostálgico
    作曲
    Jim Hall,dedicated to "My Friends In Argentina"
  4. Why Not Dance?
    作曲
    Jim Hall,inspired by Jimmy Lunceford(Jimmie Lunceford)
  5. João
    作曲
    Jim Hall,dedicated to João Gilberto
  6. Seseragi
    作曲
    Jim Hall,dedicated to "My Friends In Japan"
  7. All The Things You Are
    作曲
    Jerome Kern,dedicated to Jane Hall
  8. Miró
    作曲
    Jim Hall,inspired by Miró
  9. Monet
    作曲
    Jim Hall,inspired by Monet
  10. Bluesography
    作曲
    Jim Hall,dedicated to Charie Christian and Leadbelly
  11. In A Sentimental Mood
    作曲
    Duke Ellington,dedicated to Duke Ellington
  12. Matisse
    作曲
    Jim Hall,inspired by Matisse
  13. Street Dance
    作曲
    Jim Hall,dedicated to Sonny Rollins

演奏者

Jim Hall
electric guitar,acoustic guitar
スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

tag : レーベル.Telarc 演奏編成.デュオ・ギターとギター

拍手する

コメント

Secret

プロフィール

kawagu

Author:kawagu
江ノ島が好き。

カテゴリ
タグ(サブカテゴリ)
最新記事
リンク
最新コメント
Amazon
月別アーカイブ